位相コントラストX線CT_X線の位相変化を画像化

X線の“散乱”と“屈折”情報が、新しい世界をお見せします

はじめに

Xctal 5000は、X線の位相変化を画像化する新しいX線CTシステムです。従来のX線CTシステムで検出していたX線の吸収情報に加え、X線の散乱と屈折情報を検出します。これにより、これまで難しいとされていた、広視野での微細構造群の観察や、吸収差が小さいワークの高コントラスト観察が可能となりました。研究の進む繊維強化樹脂や複合材料、生体材料などの研究・開発に対応します。

キーワード

繊維強化樹脂、複合材料、生体材料、CFRP、散乱像、屈折像、吸収像、X線CT、新素材、生体軟組織、樹脂新素材、非破壊検査、品質管理、研究開発

機能紹介

■一度の撮影で吸収像、散乱像、屈折像の3種類の画像を取得
回折格子によるX線の干渉を利用することで、位相変化を検出できる新しい撮影方式を採用。「吸収像」は、従来のX線装置でも検出していたX線の吸収差を可視化した画像です。ワーク内部の詳細な形状の観察が可能です。「散乱像」は、微細構造群による散乱を可視化した画像です。最大100 mmの視野サイズでも微細なクラックの検出が可能です。また、「繊維配向解析機能」を搭載し、広視野で繊維の流れの観察が可能です。「屈折像」は、密度差を可視化した画像です。材質の異なる樹脂製品等、吸収差がないワークでも高コントラストでの観察が可能です。

・トマトのX線透視画像(左から、吸収像、散乱像、屈折像)


■「広視野×微細構造」観察の両立
広視野で撮影した「散乱像」から、ワーク全体における繊維束の流れや、クラックなどの微細構造群の有無や位置に見当を付けることができます。拡大撮影した「吸収像」から、微細構造群の詳細な形状が観察できます。これにより、微細構造群を観察する場合に、狭い視野で複数回撮影する必要がありません。

・クラックのあるCFRPクロス材の断面画像

 

撮影した複数枚の散乱像から繊維束の流れを配向角度に合わせてカラー表示が可能です(繊維配向カラーマップ)。繊維束の流れを色で表すことにより、直感的に理解することができます。

・繊維配向の観察

■吸収と屈折の二刀流
吸収像は、吸収係数の差が大きなワークを高コントラストで観察できます。屈折像は、密度差が大きなワークを高コントラストで観察できます。この2種類の観察方法により、さまざまなワークの高コントラスト観察を可能にします。

・水と複数種類の樹脂
「吸収像」と「屈折像」でコントラストのつき方が異なります。下のグラフで示す通り、吸収像のグレースケール値は吸収係数に比例し、屈折像のグレースケール値は密度に比例します。

■新しい観察を誰でも、簡単に

■標準ソフトウェア
・Xctal:
 Xctal 5000 の制御ソフトウェアです。
 装置の制御、透視撮影、CT撮影、画像再構成などの機能があります。
・XctalViewer:
 Xctal 5000 で撮影したX線透視画像および断面画像を表示するソフトウェアです。
 画像の表示だけでなく、複数枚の散乱像から繊維配向カラーマップを出力することができます。
・MPR(Xctal):
 Xctal 5000で得られた断面画像を表示するソフトウェアです。
 任意の角度の断面画像を、4つ同時に表示することができます。

出典:島津製作所HP

この記事に関する参考資料

カタログ:位相コントラストX線CTシステムXctal 5000

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