スイッチングデバイスの損失評価

トランジスタの損失測定をより簡単に高精度で実現!

はじめに

輸送機の電動化では「バッテリから出力される直流電力」を「モータを駆動させる交流電力」に変換するインバータ(電気回路)の開発がカギとなります。インバータは電力変換だけでなく、交流の周波数や電圧の制御、モータの回転数やトルクを調整します。
電動輸送機の省エネ性能や機動性向上にはインバータの低損失・高効率化が必要不可欠とされるなか、開発者はパワーインダクタをひとつ変更するだけでも全ての設計ポイントの波形確認が必要になるなど、その評価に多くの時間と工数を費やさざるをえません。なかでもスイッチングデバイスの損失測定は、ターンオン、ターンオフ、伝導フェーズに分けて損失を求めなければならず、最も面倒な測定のひとつです。

キーサイト・テクノロジーが提供する多種多様な測定・評価の高速化および自動化ソリューションのなかから、今回は測定の面倒からエンジニアを開放し、作業の効率化をすすめるソリューションとして「ほとんどの測定が自動セットアップでき、最小工数で確実な測定結果が得られるオシロスコープを使った方法」をご紹介します。

 

アプリケーション内容

スイッチングデバイスの損失測定は、ターンオン、ターンオフ、伝導フェーズに分けて測定を実施します。伝導フェーズ(オン期間)の損失は、トランジスタのオン抵抗(またはコレクタエミッタ間飽和電圧)によるものであり、数アンペア程度の電流では、近年発売されている低ノイズの10Bitオシロスコープですら正確な測定が困難です。また、インバータに使われるIGBT/SiC/GaNパワー半導体など、数十アンペアが流れるトランジスタでも、スイッチング周波数はサイクル毎に若干変動するため、ターンオン損失、ターンオフ損失を正確に測定するには相当な測定テクニックが要ります。しかし、キーサイトのオシロスコープとオプションの電源解析ソフトウェアを使えば、1周期あたりの損失をより簡単かつ高精度に測定することが可能になります。

<主な特徴>

- 自動セットアップで、1周期をゲート。全ての測定はゲートされた区間のみで実行されます。
- 測定電圧値から伝導フェーズ(オン区間)の損失を測定するほか、電流が比較的小さいデバイスの場合は、Rds(on)またはVce(sat)の値から測定。
- ズームしたターンオン期間、ターンオフ期間、伝導フェーズのそれぞれの波形において、損失計算に使用するデータを自動で選択。
- 測定時は、回数アベレージ、高分解能モードなどを併用。いずれも処理速度が高速なので測定結果が早く安定します。

 

自動セットアップで自動的にゲートされた1周期を表示し、ゲート区間で測定をします。ターンオン区間の電圧値が十分大きい場合は、1周期あたりのエネルギー損失をそのまま自動計算します。小電力デバイスの場合は、Rds(on)(またはVce(sat))の値を用いて、伝導フェーズの損失を計算します。

損失が正確に測定できれば、Tjを求めることができるようになります。

オシロスコープによるスイッチングトランジスタの損失とTj測定デモ 6分1秒

 

この記事のまとめ

スイッチングデバイスの損失評価.pdf

 

この記事に関する参考資料

スイッチング電源の測定 Application Note(Aug 13,2015.5991-1117).pdf

オシロスコープ infiniiVision 3000T X-シリーズ(Oct 16,2015.5992-0140).pdf

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